家畜と生きる。〜やぎ銀行で持続可能な収入源を〜

こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

地雷埋設地域における村落開発支援プロジェクトでは、現在(2018年度時点)カンボジア北西部のバッタンバン州3ヶ村を対象としています。今回は、2014年にプレア・プット村に編入された、山の麓の小さなコミュニティで実施している「やぎ銀行」について。わたしたちもそう呼んでいるので、今回ご紹介するコミュニティは「プレア・プット村(小)」とします。

 

プレア・プット村とは?

以前、基礎教育支援に関連して給食支援を始めたときに書いた記事があります。このなかで、村の状況について簡単に触れていますのでこちらをどうぞ。

子ども達に教育の機会を。〜給食、始めます〜

2017.07.12

プレア・プット村はカンボジア北西部のタイ国境沿いにあります。ここは「K5地雷ベルト」の中に位置し、この村だけで6,000個以上の地雷が撤去されたそうです。

世界銀行によるとカンボジアの経済成長率は、2017年の6.8%から2018年には6.9%に上昇すると予測されています。ここ数年間はほぼ横ばいではあるものの、高い経済成長率を保っているカンボジアですが、国内全土においてその勢いを感じられるわけではありません。

戦闘に巻き込まれ、大量の地雷が埋められた地域は、都市部の経済発展に取り残されていると言える状況が多々あるのです。

 

収入源の単一化は危険

カンボジア農村地域にも貨幣経済が急速に浸透し、今では現金収入なしでは生き延びるのが難しいほどです。

類似の地域では、自分の土地で換金作物栽培をするケースもかなり多く見られます。しかし、プレア・プット村(小)においては約9割の世帯が農地を持っていません。

「農地を持っていないために、換金作物を栽培できない。でも、現金収入は必要である」

そのため、現金での日当を得られる出稼ぎ労働を主な収入源とせざるを得ないのです。日雇い労働や換金作物栽培それ自体が悪いとは言いません。ただ、問題なのはそれ以外に収入源がないことです。

日雇い労働でよくあるものは、地主が持っているキャッサバやトウモロコシなどの換金作物畑、あるいは、龍眼(リュウガン、ロンガン)という果物に農薬をまくなどの農作業です。これらは季節によって仕事の有無が大きく変動します。一度収穫が終わると、次に栽培する季節になるまでなかなか仕事がありません。

つまり、収入が不安定なのです。

 

そこで、わたしたちは村落開発支援のなかで、収入源の多様化を目標として家庭菜園の推進や家畜飼育の普及をしているのです。

そのなかのひとつがプレア・プット村(小)で実施している「やぎ銀行」です。

 

「やぎ銀行」?

「ヤギ銀行 国際協力」で検索すると、いくつか活動事例が出てきます。ご関心のある方は調べてみてください。

わたしたちが実施しているやぎ銀行のルールは以下の通りです。

  1. 1世帯につき、やぎ3頭(雄1頭、雌2頭)を貸し出す
  2. 子やぎが生まれたら、離乳するまで育ててもらう
  3. 離乳した子やぎが3頭になったら、最初に貸し出した親やぎ3頭を返却してもらう
  4. 次の対象世帯に、返してもらった親やぎ3頭を貸し出す

 

離乳した子やぎ3頭は対象世帯のヤギになります。これを繰り返していくのです。やぎは繁殖力が高く、妊娠・出産のサイクルは半年ほどです。また、初産は1頭のことが多いのですが、基本的には1度の出産に2頭の赤ちゃんを産みます。

やぎ銀行では、次の家族にやぎを貸し出してやぎ飼育を普及し、コミュニティとして家畜資産を確保することを目指しています。そのため、4頭目以上の子やぎも離乳すれば返却してもらうことにしています。

やぎは比較的、病気に強く、カンボジアの農村部に自然に生えている草を食べて成長するので、餌代もほとんどかかりません。先日、村の様子を見に行ったら、近くに自生しているバナナをたらふく食べていました。

 

2巡目に貸出し開始

2017年6月から開始した、プレア・プット村(小)でのやぎ銀行。最初は「やぎを初めて見る」と言う子どもや「やぎは食べたことがない」と言うおっちゃん・おばちゃんたちでした。

(2017年6月、初めて村にやぎを連れてきたときの様子)

 

しかし、今となってはお世話もお手の物。子どもたちも含め、村の人たち全員でかわいがってくれたおかげで繁殖が進んでいます。昨年度にやぎを貸し出した4世帯のうち、3世帯が返却可能となりました。そのため、今月、親やぎ3頭ずつを返却してもらい、2巡目の世帯に貸し出しを開始しました。

先日開催したやぎの飼育技術に関する訓練にも参加し、かなり積極的に取り組んでくれています。

 

大人のやぎは1頭あたり約160ドル、大きくなるまで育てると200〜250ドルで売ることができます。日雇い労働の収入は5〜7.5ドルほどなので、やぎが収入源のひとつとして確立されると中長期的にまとまった収入を得ることができます。

わたしもカンボジアにいる間、複業としてやぎでも育てたいなあと思う、今日この頃です。


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