こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

今週も地雷被害者を含む障害者家族の生計向上支援プロジェクトの対象世帯をまわって、家畜飼育や野菜栽培のフォローアップを行いました。


 

やぎ銀行


対象100世帯のうち、今年度は45世帯を対象にやぎの飼育技術訓練を実施し、実際にやぎの配布を進めています。1世帯に対して雄やぎ1頭、雌やぎ2頭の合計3頭を提供します。


対象世帯にはこれらの3頭を飼育してもらい、子やぎが産まれたら最初の3頭をテラ・ルネッサンスに返還してもらう、というルールです。


そして来年度の対象世帯に、返還してもらった子やぎを渡し、やぎ飼育を広めていく「やぎ銀行」なるものを設立するのです。


今週は対象世帯のうち、特にやぎ飼育を開始しているお家をまわり、話を聴いてきました。


 

そのうちの1世帯、アンさんのお家で話をしていた時のこと。


めちゃくちゃ大きな声でよく喋り、いつでも元気なおっちゃんです。


陽気なこのおっちゃんも、地雷事故の被害者です。家の裏で木を切っていた時に、対人地雷を踏んで左足を失い、義足をはめて暮らしています。


新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

それからというもの(おそらくそれ以前からですが)、お酒をよく飲むようになり、わたしが会う時はかなりの高確率で酔っ払っていました。不思議なタイ語や英語も交えて、よく話しかけてくれるのです。


そんなアンさん。プロジェクト開始前のベースライン調査時から、そのやぎへの愛を熱く語ってくれていました。


「自分はやぎが大好きなんだ!だから自分でやぎを育てたい!」


そして今年度はやぎを育ててもらうことにしたのですが、「やぎ愛」が爆発しています。


 

やぎに名前を


アンさんは提供したやぎ3頭にそれぞれ名前を付けていたのです。カンボジアではこのようなことはあまり聞いたことがありません。


雄やぎには「ディナ」


雌やぎには「ボッパー」「ラタナ」


まるで、我が子に名前を付けるかのように。


新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

わたしたちが質問をして、受け答えをしている時にも彼の視線は愛するやぎに。


やぎが家に到着してからは、何をするのもやぎと一緒だそうです。


その愛はやぎたちにも伝わっていて、アンさんの足元を離れないので、少し歩くのも一苦労だそう。


わたしたちからの質問が終わるや否や、お気に入りのお酒の瓶を片手に、すぐにやぎ小屋の方に歩いて行きました。


また、別のおっちゃんは、いつでも酔っ払っているほどお酒好きだったのですが、やぎの提供を終えてからはほとんどお酒を飲まなくなったそうです。


 

その理由は


「お酒を飲んでいる時間がもったいない。そんな時間があるのなら、やぎの面倒を見ていたい!」


これだけの愛を持って、やぎを飼育してくれるのは、とても嬉しいものです。


いくらわたしたちがやぎ飼育の重要性や意義を説明しても、最終的に必要なのは対象者の内側から出てくる主体性です。

対象者それぞれの内にある動機を引き出すことこそ、プロジェクトを実施する上で重要なポイントとなります。そして、内側の動機が活動をより持続的なものにしていきます。

それだけではありません。

「飲酒=悪いこと」と短絡的に決めつけているわけではありません。ただし、農村地域に住み、多額の借金を抱えながらも少ない収入で生活を送っているおっちゃんたちにとって、お酒は大きな支出のひとつであることは間違いありません。


この「やぎ愛」が、彼らの生活スタイルを変えていく日も、そう遠くないのかもしれません。


新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

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