カテゴリ: 活動の様子

こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

今週から、地雷被害者を含む障がい者家族の生計向上支援プロジェクトのモニタリング調査を開始しました。

事業内容についてはこちらを。

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この事業では、カウンターパート(現地における協働実施機関、移転技術の受入れ先となる人や組織のこと)団体が以下2つあります。

・現地NGOであるCRDNASE(Community Rural Development of Natural Agriculture for Supporting Environment

・カンボジア バッタンバン州農林水産局

加えて、カンボジアで障がい者に対する福祉関連を管轄するバッタンバン州社会問題・退役軍人・青年更生局社会福祉課のスタッフらとも連携を取っています。

プロジェクトをより持続的なものにするために、このような各関係組織と手を組んで展開していきます。

今年度4月より開始した本事業において、まずは1年弱の活動による対象家族の変化を見ようということで、今週からカウンターパート団体のスタッフらと一緒に家庭訪問を開始したのです。

そのなかで、嬉しい出来事があったので書いておきます。

 

自分にできることを


わたしたちが対象としているのは、バッタンバン州でも西部 タイ国境に位置するカムリエン郡に住んでいる方々です。

スララオ・トン村に住むカンさんは元兵士。

カンボジアで戦闘が起きていた1982年、アンコールワットで有名なシェムリアップの東側に位置するプレア・ヴィヒア州に駐屯していた際に地雷事故に遭いました。

PMNと呼ばれる旧ソ連製の大型対人ブラスト地雷の爆発によって、左足を失ってしまいました。この型の地雷による被害者のほとんどは、爆発の威力で足の下部が吹き飛ばされてしまいます。

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プロジェクト開始前から換金作物であるキャッサバやトウモロコシの栽培に励んでいたのですが、それらの買取価格が下落した影響を受けて厳しい生活を送っています。

今年度は以前より彼自身も飼育していた鶏の技術訓練を提供しました。

また、狭い土地でも栽培可能な家庭菜園にも、熱心に取り組んでいます。

新卒NGO職員がゆく。photo by 延岡由規

新卒NGO職員がゆく。photo by 延岡由規

本プロジェクトの対象は100世帯です。

それだけ対象者がいれば色々な問題があるものの、積極的に参加してくれるカンさんは他の村人のロールモデルにもなり得るぐらい、かなり頑張っています。

そんなカンさんの家に訪問したとき、こう言われました。

テラ・ルネッサンスの支援のおかげで、生活は徐々に変わりつつある。

なにか、お返しできることはないだろうか。

それをいつも考えているんだけど、いい答えが見つからない。

だからまずは、自分にできることを一生懸命やっていきたいんだ。

 

恩返しよりも、バトンを渡す


援助関係者であるわたしたちにできること、わたしたちがやるべきことは、対象者・対象地域に内在する力が発揮される環境整備です。

未来をつくりだす力は、本来彼ら彼女らのなかに十分すぎるほどあるのです。

それらが芽を出すのを阻害する要因を、できる限り取り除いていくこと。同時に、芽が出やすいように周りの環境をしっかりと整えていくこと。

それをやっていけば、自らの力で壁を乗り越えていけるのです。

そして、「自立」した生活に近づいてきた対象者らは、次の人のことを考えます。

ウガンダで元子ども兵の社会復帰支援に携わっていたとき、彼ら彼女らは口を揃えてこう言いました。

自分たちは支援によって生活を向上することができた。

次は、自分が、困っている人に手を差し伸べる番だ。

自分たちこそ、コミュニティで平和をつくっていく役割を担っていくんだ。

それと同じようなことを、ここ、カンボジアでも感じつつあります。

カンさんも、もしもわたしたちのサポートによって生計が向上していったら、わたしたちに恩返しをするんじゃなくて、次にそのバトンを渡してほしい。

そうやっていけば、少しずつ、でも着実に平和への想いは繋がり、広がっていきます。

3月には1番下の娘さんが帰ってきて家を建てて、一緒に住む予定だそうです。

出稼ぎで、タイ国境にあるカジノで働いている娘さんと再び一緒に暮らすのがとても楽しみだと、笑顔で語ってくれました。

新卒NGO職員がゆく。photo by 延岡由規

[blogcard url="https://www.instagram.com/yuki_nobuoka/"]

こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

ブログのタイトル通り「新卒NGO職員」と名乗っているわけですから、わたしは大学卒業と同時に今の国際協力NGOに就職したということです。

一見、特異なキャリアのように思われるかもしれません。実際、JICAの青年海外協力隊の方や、自分で団体を立ち上げた方を除いては、新卒で国際協力に本格的に携わり、かつ、海外の支援現場に駐在員として派遣されている人はほとんど出会ったことがありません。

もしそのような方がお知り合いの中にいらっしゃれば、同じ志を持つ「仲間」として繋がりを持ちたいので、ぜひ教えていただきたいです!

さて、友人であり、大学生ながら国際協力NGOコンフロントワールドを立ち上げた原貫太さんはご自身のブログにてNGO就職への最短ルートを以下の2つ、ご紹介されています。
①学生時代にNGOでインターン→卒業後にそのNGOに就職

②NGOでインターン→新卒で青年海外協力隊→帰国後に就職

NGOに就職する2つの最短ルートを紹介しますぞ - 原貫太オフィシャルブログ

上記に照らし合わせると、わたしは完璧に①のパターンに一致します。

認定NPO法人テラ・ルネッサンスでインターンシップを開始したのが2014年9月です。
そこからおよそ2年半、主に本部である京都事務局にて活動をしていました。

2017年4月に入職し、カンボジアに駐在して支援現場に立つようになってから、改めて国内でのインターン業務に携わっていて良かったなあと思うことが多々あります。

わたしとしては、NPO/NGOで働きたいと考えている方、将来的に国際協力NGOの海外駐在員を目指している方は、まずは日本国内(本部)でのインターンシップを始めることを強く勧めます。

 

NPO/NGOでインターンシップをするメリット/デメリット


国際協力に限らず、一般的なNPO/NGOでのインターンシップに関するメリット/デメリットは以下のような感じでしょうか。

<メリット>

・裁量が大きく、責任のある仕事を担うことができる

・非営利/非政府組織としての運営体制を学ぶことができる

・同じような志を持つ仲間と出会うことができる

<デメリット>

・正規専従職員の数が少なく、インターンシップとはいえ激務である

・教育体制が整っておらず、きちんとした研修がない

・金銭的な報酬が少ない/無い

などなど。

他にもたくさんありますが、とりあえずぱっと思いついたものを書いてみました。

 

現場に行く前に国内でインターンシップをするメリット


わたしが感じている、特に国際協力NGOの海外駐在員が現場に派遣される前に国内業務に携わる4つのメリットに絞ってご紹介します。

1. 組織としての大きな流れを掴める


有している能力や経験はもちろんですが、NPO/NGOに就職するにあたってそれ以上に大切なことがあります。

それは、団体のヴィジョンやミッションに心の底から共感できるか。

ビジネスセクターを含め、多くの組織はそれらを明文化してホームページ等に載せています。しかしながら、次のような情報を掲載しているものはほとんど見たことがありません。

・そのヴィジョンがどのようにして策定されたのか

・ヴィジョン達成に向けて具体的にどのようなアプローチをとっていくのか

あるいは、複数の事業を抱えている組織の場合、各事業が立ち上がった(人間関係や金銭面など、普段はオープンにされにくい)深い部分の背景など。

これらは内部で活動を共にするスタッフには確実に共有されるべきものです。しかし、ホームページやSNSを通して対象とする一般の方々にはあまり必要のないことが多く、内部スタッフもなかなか情報にアクセスしづらいのです。

そんな時に頼りになるのが古株の職員です。国内事務局で同じ時間を過ごすことで、先輩方から団体の歴史を詳細に聞くことができるのは、本部事務局でインターンシップをする大きな利点です。

組織としての歴史、そして未来という大きな時間軸の流れの中から、今目の前にあるプロジェクトの意義や立ち位置を考えられるというのは、非常に重要です。

2. 「国内側が海外の現場に何を求めているか」という視点を養える


同業の大先輩である門田さん(エイズ孤児支援NGO PLAS 代表理事)から以前、わたしのInstagramの写真について有り難いお言葉をいただきました。





また(恐縮ながら)同世代で国際協力の最前線でご活躍されている田才さんもこのようにおっしゃっています。



わたしがどれだけ国内の広報/ファンドレイジングに貢献できているかは、ここでは置いておきましょう。

 

これだけ「現場のリアルを発信すること」に力を入れているのは、わたし自身が国内の事務局で主にPR(パブリック・リレーションズ)業務に携わってきたからです。

いかに現場の写真や動画、情報が大切かを身に染みて学んだからこそ、カンボジアに駐在している今、少しでもテラ・ルネッサンスのブランディングや仲間づくりに貢献したいと強く思います。

また、インターン生として活動している期間に、PR業務を統括する職員とかなり深い議論を重ねてきたからこそ、コンテンツに対する感覚が養われたのも事実です。

3. 支えてくださる方々の「想い」に直に触れられる


1つの組織が運営されるには、内部、外部問わず、たくさんの方々の想いが欠かせません。日本に本部を置くNPO/NGOだと、支えてくださる方のほとんどが日本に住んでいらっしゃるでしょう。

また、海外の支援現場で1つのプロジェクトを回すのも同様です。その裏には日本事務局での細かい作業(資金調達、啓発、会計、労務、総務)が数え切れないほど積み重ねられて、やっと事業を運営することができます。

このことを実感しないまま、いきなり海外の支援現場に立つことは、ある種危険な行為です。

日本にいる一人ひとりの想いを「無駄遣い」し兼ねません。

逆に、わたしはインターン生時代に様々な場で、内外問わず、多くの関係者の方々と直接お会いし、想いを共有させていただきました。

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

その経験は今の活動を支えてくれるモチベーションの1つにもなっています。

4. 「当たり前の質」が上がる


先日、京都事務局でインターンシップをがんばってくれている仲間とLINEのやり取りをしていました。これが今回の記事を書くきっかけになったので、一部ご紹介致します。

<わ:わたし、イ:インターン生>

わ:インターンありがとうね!(←この日、彼女はインターン出勤日でした)

イ:インターンありがとうと言って頂き、ありがとうございます😊

わ:今日も安心して仕事ができるのも、日本のみなさんのおかげやからね〜〜(^^)

イ:すごいですね。だれかに対して、『あなたのおかげで安心して仕事ができる』なんて24歳で言える人なかなかいないと思います。言われた側はとても嬉しいです。明日も頑張れます!

わ:すごいのか?これが当たり前やと思ってたけども。

イ:ただ『仕事ができる』じゃなくて『安心して仕事ができる』と言っているところがすこいです。なかなかサラっと言える人いないと思いました!

わ:テラルネでたくさんの人に関わらせていただいてるおかげですよ(^^)

日本で想いを寄せてくださる方々のおかげで、今日も安心して仕事に取り組める。

これはわたしにとっては当たり前のことです。しかし、彼女からしたら「すごい」という言葉が出る対象のようです。

また、以前、わたしにとってはすでに当たり前になっている考えをツイートしたところ、じわじわと反響がありました。





わたしがインターンシップを開始する前は、こんなことは言えなかったでしょう。

あるいは、国内事務局でインターン業務に従事せずに、ダイレクトに海外の現場に来てしまっていたら、このような言葉は出なかったかもしれません。

「質の高い」人たちが集まる環境に飛び込むと、自分自身の「当たり前の質」が自然と引き上げられるようです。

これは海外事務所でもじゅうぶんに起こり得ることですが、同じ日本語を母語とする仲間と働く方が、そのスピードは速いでしょう。

 

まとめ


いろんな事情があるかと思います。

しかし、国内ベースの国際協力NGOの海外駐在員が、日本事務局での(インターンシップ)業務に関わらずにいきなり海外の支援現場に立つことは、あらゆる面でリスクの高い行動です。

逆に、ここのステップをきちんと踏めば、駐在生活開始時点から良いスタートをきることができます。

将来的に国際協力NGOで海外駐在員として活躍されたい方こそ、まずは日本国内(本部)でのインターンシップを始めることを強く勧めます。

・・・・・・

【お知らせ】


わたしが所属している認定NPO法人テラ・ルネッサンスでは、京都事務局で活動するインターン生を定期的に募集しています。

詳細は公式サイトをご覧ください。
→ わたしにできる支援・活動について l インターンシップとして参加



この動画もインターン生が独学で動画編集を学び、製作してくれました!

こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

村落開発支援プロジェクトの対象地域のひとつ、ロカブッス村での出来事。

村にある小学校の前の土地がかなり余っているので、そこをうまく活用できないかと村の人達と半年ほど前から話し合ってきました。

その結果、今後のプランのためにもまずはため池を掘ろうということになったのです。
小学校の土地は行政に属するので、ため池を掘る前に区長さんからの許可証が必要です。

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka
ロカブッス村の小学校 photo by Yuki Nobuoka

皆さんのイメージがどうか分かりませんが、区長さんって結構忙しいみたいです。

9月から何度かアポを取っていたんですが、直前になって別のミーティングが入ったりして、ことごとくキャンセルされてしまって。

やっとのことでスケジュールが合い、区長さんと面談をすることができたのが、10月5日のこと。

「あそこは地面の下に、大きな岩がゴロゴロとしているから、ため池を掘るのも大変かもね〜〜」

なんて笑いながら、村長さんと共に説明をしたわたしたちの計画を聞いてくれました。そして、あっさりと土地利用の許可証を発行してくれたのです。

 

そして、面談の最後になって、こう言われました。

「あそこって、まだ地雷埋まってるんじゃなかったっけ?」

 

地雷原とは


ロカブッス村では、人々の生活圏内の地雷撤去は2010年に完了しています。それを受けて、2011年にわたし達がこの村での事業を開始しました。

ここで注意しなくちゃいけないのは「地雷がなくなった」という判定は非常に難しいということ。

より、実際に即した表現にするならば、「地雷原として指定されている箇所の地雷撤去は終わった」と言えます。その後に「しかしながら、地雷原として指定されていない箇所に地雷がないとは断言できない」という言葉が続きます。

不発弾撤去においても同様のことが言えるでしょう。

それぐらい、地雷や不発弾の撤去は複雑で困難なものなのです。

 

ロカブッス村小学校の前の土地は、休み時間や放課後になると運動場として、子ども達が毎日のようにサッカー、縄跳びなどをして遊んでいます。しかし、それは校舎近くのみ。少し道の方に行くと草が伸び放題の茂みです。

ここに、地雷が埋まっているかもしれないという話なのです。

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka
校庭で遊ぶ子ども達 photo by Yuki Nobuoka

 

シンプルに、こわい


以前からため池を掘る土地の視察として、村長さんと一緒にわたしたちも何度かここを歩いていました。その時は、地雷が埋まっている可能性があるだなんて考えもしなかったです。しかし、改めて考えると、そこは「人々の生活圏」とは呼べるような場所ではありません。

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka
ため池掘削予定地 photo by Yuki Nobuoka

区長さんからのひと言で、わたしはカンボジアに来てから初めてこわいと感じました。

これまでに、何度か地雷原に視察で行かせていただいたことはあるのですが、地雷撤去団体が活動をしている場所を訪れるというものでした。そのため「ここは地雷原だ」と事前に分かった状態での訪問です。

歩くのも、すでに地雷が埋められていないことが確認されている「安全」な通路のみ。地雷原を示す看板が目と鼻の先にあるにもかかわらず、その線さえ超えなければ地雷事故にあうことはありません。

でも今回は、すでに何度か歩いたことのあるエリア。しかも、子ども達が遊んでいる運動場から数十メートル先のこと。区長さんのひと言で一気に血の気が引いた感覚になりました。

 

もしも、あの時のあの一歩が、地雷の上を踏んでいたら。

 

地雷撤去団体の協力を得て


今日、わたしたちが提携をしている現地の地雷撤去団体MAG(Mines Advisory Group)のスタッフに来てもらい、対象エリアのGPS情報を取得してもらいました。その情報を過去の撤去活動実績に照らし合わせてもらうのです。作業自体はすぐに終わり、照合も迅速に対応してもらいました。

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

結果として、ここも1999年に当団体が撤去作業を完了していることが分かり、一件落着。

安心してため池を掘ることもできるし、子ども達が遊ぶこともできます。

これで万が一、地雷撤去作業の完了が認められなかったら、MAGのスタッフらによってここからさらに調査が行われます。他の地域での作業もあり、撤去作業の完了に至るまでには2、3年かかるとも言われていたので安心しました。

 

日本で生活をしているとあまり想像しにくいかもしれませんが、もしもあなたの通学路、通勤路に地雷が埋まっているかもしれないと言われたら、どう感じますか。

カンボジアの特に農村地域では、そのリスクを分かっていながら農作物生産のための土地を耕すために、あるいは木材を手に入れるために地雷原に足を踏み入れざるを得ない状況にあります。

そうでもしないと、明日を生きるための収入が得られないから。

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

カンボジアにおける地雷事故の件数や、その被害者数は年々減少傾向にあります。撤去作業の拡大や、地雷に関する知識の普及などが徐々に結果を出しているからです。

しかし、400〜600万個埋められていると言われるカンボジアの地雷がゼロになるには、まだまだ時間がかかります。

世界中の戦闘地域では、未だに新たな地雷が使用されています。

一度埋められると、誰かが踏んで爆発するか、撤去作業によって除去されるまで、人々の脅威となり続ける地雷を、できるだけ早く無くさないと。そして、これ以上増えないようにしないと。

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こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

今週もフィールド三昧でした。最近、平日は基本的にフィールドに行っています。月曜日の夕方、あるいは火曜日の朝イチで街を出発して、車で約2時間。カンボジア西部のカムリエン郡というタイ国境付近で、わたしたちはプロジェクトを実施しています。

今日、お伝えするのは村落開発支援プロジェクトの対象地域のひとつ、ロカブッス村です。

村落開発支援プロジェクトの背景や目的は以前の記事を。

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水曜日、木曜日と、村長さんはじめ、村のリーダー的な存在の人たちとミーティングをしてきました。

 

7月に村人たちと決めた、村のヴィジョン


「自立と自治」を促進するために、村では毎月1回、自治会を開催しています。今年の7月に行なった自治会では、村のヴィジョンが決定しました。

と簡単に言ったものの、そこに至るまでには何度も何度もリーダーたちとワークショップや話し合いをしてきました。

わたしたちの考える「ヴィジョン」と、リーダーたちが思いつくそれは少し次元の異なる話で。手段と目的の認識が違っていたというか。

紆余曲折ありながらも、リーダーたちとの話し合いの中で、何とか村人たちにも発表できるようなものができあがったので、7月の自治会の際に議題にあげたのです。

「コミュニティの中の家族が、最低限の生活を送れるようになる」

村の人たちからも同意を得られ、ロカブッス村が今後目指していく方向性が明らかになったのです。

新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka
ロカブッス村 リーダーたちとのミーティング風景

 

実現に向けた今後の活動


ヴィジョンが決まると何が良いかって、色々あるんですが。

一番は、これから実施していく活動が、やるに値するかを決める判断基準、判断の軸になることです。組織にしろ、個人にしろ、ヴィジョンがはっきりしていると、あらゆる行動選択における判断がしやすくなります。

最終の目的地が決まっているのだから、そこにたどり着くために適切かどうかを、下に降りていって考えることができるのです。

さて、ヴィジョンは決めただけでは意味がありません。

そこから具体的な活動におろしていくためのプロセスとして、ミーティングを実施したのです。



具体的な内容はここでは省きますが、それぞれがアイディアを出し合って、かなり白熱した議論になりました。カンボジアの人たち、とまとめるのは微妙なところがありますが、割と大勢の前だと自分の意見を言うのが得意じゃないような気がしています。

 

これはポル・ポト時代の名残でもあるのかもしれません。

当時、反ポル・ポト派を掃討するために、密告制度が採られていたとかで、あまりオープンに想いや考えを言えなくなっているのかもしれません。

ただ、顔の知れた関係で少人数のグループだと、ものすごくよく喋ります。いつの間にか喧嘩になっていやしないかと、ひやひやするほどの迫力です。笑

この2日間でひとまず、形になりそうなアイディアがまとまったので、良しとしよう。

 

大事なのはバランス


ミーティングに参加していて改めて考えたのはこのこと。

わたしたちのプランを押し付ける形にならないように。

でも、アイディアを選択肢のひとつとして提示する必要もある。

ただし、わたしたちのアイディアが無批判に歓迎されて、議論も無く採用されてしまっては意味がない。

わたしたちが目指しているのは、村の「自立と自治」だから。

村の人たちは、わたしたちの「操り人形」ではないのだから。

そうは言っても、知らないことは考えようもありません。皆さんも、きっとそうでしょう。

例えば、わたしの苦手なことを克服するためのアクションプランを一緒に考えてくださいとお願いしたとしても、わたしのことをほとんど知らないあなたはアイディアを思いつくことは困難なはず。

そうなった時、どこまでこちら側から情報、アイディアを提示するか。

ここの見極めが非常に難しくもあり、面白いところでもあります。

村の運営を最終的に行なっていくのは、やはり村に住んでいる人たち。

そこを見失わないようにバランスをとりながら、今後の活動を展開していきます。

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こんにちは!新卒「国際協力師」の延岡由規(@yuki_nobuoka)です。

今週も地雷被害者を含む障害者家族の生計向上支援プロジェクトの対象世帯をまわって、家畜飼育や野菜栽培のフォローアップを行いました。


 

やぎ銀行


対象100世帯のうち、今年度は45世帯を対象にやぎの飼育技術訓練を実施し、実際にやぎの配布を進めています。1世帯に対して雄やぎ1頭、雌やぎ2頭の合計3頭を提供します。


対象世帯にはこれらの3頭を飼育してもらい、子やぎが産まれたら最初の3頭をテラ・ルネッサンスに返還してもらう、というルールです。


そして来年度の対象世帯に、返還してもらった子やぎを渡し、やぎ飼育を広めていく「やぎ銀行」なるものを設立するのです。


今週は対象世帯のうち、特にやぎ飼育を開始しているお家をまわり、話を聴いてきました。


 

そのうちの1世帯、アンさんのお家で話をしていた時のこと。


めちゃくちゃ大きな声でよく喋り、いつでも元気なおっちゃんです。


陽気なこのおっちゃんも、地雷事故の被害者です。家の裏で木を切っていた時に、対人地雷を踏んで左足を失い、義足をはめて暮らしています。


新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

それからというもの(おそらくそれ以前からですが)、お酒をよく飲むようになり、わたしが会う時はかなりの高確率で酔っ払っていました。不思議なタイ語や英語も交えて、よく話しかけてくれるのです。


そんなアンさん。プロジェクト開始前のベースライン調査時から、そのやぎへの愛を熱く語ってくれていました。


「自分はやぎが大好きなんだ!だから自分でやぎを育てたい!」


そして今年度はやぎを育ててもらうことにしたのですが、「やぎ愛」が爆発しています。


 

やぎに名前を


アンさんは提供したやぎ3頭にそれぞれ名前を付けていたのです。カンボジアではこのようなことはあまり聞いたことがありません。


雄やぎには「ディナ」


雌やぎには「ボッパー」「ラタナ」


まるで、我が子に名前を付けるかのように。


新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

わたしたちが質問をして、受け答えをしている時にも彼の視線は愛するやぎに。


やぎが家に到着してからは、何をするのもやぎと一緒だそうです。


その愛はやぎたちにも伝わっていて、アンさんの足元を離れないので、少し歩くのも一苦労だそう。


わたしたちからの質問が終わるや否や、お気に入りのお酒の瓶を片手に、すぐにやぎ小屋の方に歩いて行きました。


また、別のおっちゃんは、いつでも酔っ払っているほどお酒好きだったのですが、やぎの提供を終えてからはほとんどお酒を飲まなくなったそうです。


 

その理由は


「お酒を飲んでいる時間がもったいない。そんな時間があるのなら、やぎの面倒を見ていたい!」


これだけの愛を持って、やぎを飼育してくれるのは、とても嬉しいものです。


いくらわたしたちがやぎ飼育の重要性や意義を説明しても、最終的に必要なのは対象者の内側から出てくる主体性です。

対象者それぞれの内にある動機を引き出すことこそ、プロジェクトを実施する上で重要なポイントとなります。そして、内側の動機が活動をより持続的なものにしていきます。

それだけではありません。

「飲酒=悪いこと」と短絡的に決めつけているわけではありません。ただし、農村地域に住み、多額の借金を抱えながらも少ない収入で生活を送っているおっちゃんたちにとって、お酒は大きな支出のひとつであることは間違いありません。


この「やぎ愛」が、彼らの生活スタイルを変えていく日も、そう遠くないのかもしれません。


新卒NGO職員がゆく。photo by Yuki Nobuoka

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